小説「僕の彼女は中国人」

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zoom RSS 風邪の治療なんて言うけれど、病院でもらう薬は実はとても怪しい

<<   作成日時 : 2014/11/26 17:30   >>

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前回は、医師の中には”自分は風邪というものが実はよくわかっていないのだ”という自覚がない藪医者がかなり多いという話を書きましたが、それは前回の話のポイントである”風邪とよばれる普通感冒という疾患は予後良好な年中みられる疾患である”という話から来る”風邪ひきばっかり診ていてもつまらない”というイメージに起因しています。

つまり、病気として適当に扱う習慣がついてしまっている医師が少なくなく、”対症療法で自然に治るから、患者が困るという症状を抑えてやれば、それでいいんだろう”という安易な発想を持ってしまっているお馬鹿な医師が少なくないのです。

そう書くと、”いやいや、患者のニーズに合わせて対症療法をすることは、患者サービスとしては当然であり、患者の求めに応じて厚生労働省が認可している医薬品を処方することが悪いはずはないのだ”などというごもっともそうなお言葉をしたり顔で語るお馬鹿さんまでいます。

では、なぜ彼らはお馬鹿さんなのでしょうか?

そこをちゃんと書いておく必要があるでしょうね。そうでないと、納得できないという人も少なくないはずです。

というわけで、そのあたりのことを書いておこうと思います。

まず、昔は風邪はウイルス性の疾患がほとんどであるにも関わらず、細菌感染の合併を予防できると称してやたらと抗生物質や合成抗菌剤を処方する医師が大学病院にまでいました。

しかし、その後の研究により、”抗生物質や合成抗菌剤を投与しても、しなくても、細菌感染による合併症が起きる頻度には有意な差はなく、薬剤が効かない耐性菌を作り出すという社会的損失を含む弊害があり、使用すべきではない”という話が世界中の医師に知られるようになり、使用する医師は減りました。

でも、それで風邪に対するこれらの薬の使用をしない医師ばかりになったかというと、そうではありません。

ウイルス感染に効果などあるはずもない合成抗菌剤のオゼックスを処方する医師も少なからずいるので、ネットでは”オゼックス 効かない”などという当たり前のことを検索する人々が少なくありません。オゼックスは決して万能薬ではなく、効かない時は効かなくて当たり前であり、どんな抗生物質や合成抗菌剤でもウイルス感染には効くはずがありません。

そのため、今でも多くの医師向け、医療者向けの医学専門雑誌でも、抗菌薬の使用に関する注意喚起を促す記事がしばしば掲載されています。

抗生物質や合成抗菌剤といった抗菌薬の使用については世界各国でガイドラインが策定されており、日本でも内科や小児科の関連学会などからガイドラインが発表され、公開されていますが、それすら見たことがない、存在を知らないという医師も実在し、不適切な薬剤の使用により重症感染症の正確な診断を困難にする原因を作っているという自覚がない医師が少なくないのです。

実際、つい先ごろも某公立病院の医師による不適切な抗生剤の使用により重症化した患者さんの診療を引き受けたことがありましたが、そんなことは珍しいことではありません。

大学病院の教授や国公立病院のベテラン医師ですら、わかっていない人はわかっていません。そんな人たちが権威とされるなんて、呆れるしかありません。

不適切な抗菌剤の使用は、患者が子どもでも成人でも、

1)重症感染症の診断のための経過観察や検査に悪影響を与え、診断を困難にする
2)細菌培養検査による起炎菌の同定(確定)を困難にする
3)地域の耐性菌を増やす
4)地域で増えた耐性菌によって、基礎疾患〜持病を抱えた子どもや成人の病状悪化のリスクを増やす

といった問題が起こるのです。ですから、医療者は患者個人に対してだけではなく、地域社会に対する責任もあることを忘れてはいけません。

子どもでも成人でも、風邪は自然に治癒します。風邪の原因になるウイルスの多くは、まだそれを殺す薬剤は開発されておらず、治療薬と呼べる薬剤はない、というのが現状です。

治療薬がないのに、どうやって治療するか、という話になるわけですが、根本的な治療はできませんから、”風邪の治療は薬ではできません”というのが本当はもっとも正確な答えになるのだろう、という真面目な医師は世界中にいます。

欧米の医師は”風邪は自然に治るから、安静にして、よく眠り、暖かくして、汗をかいたら着替えて、自分で食べやすいものや好きなもので栄養のあるものを食べて、尿がいつも通りに出るように好きな飲み物を飲んで、急に冷えないように注意しなさい。我慢できないほどの頭痛や高熱があるときは、今回処方した解熱剤を飲むといいですが、飲む回数はなるべく控えなさい”と言います。

実は、これが正解なんです。

つまり、普通は咳止めや鼻水止めなんて必要ありません。

なぜなら、風邪の症状である咳や鼻水は病気が進行して悪化するのを防ぐための生体防御反応であることは医学の世界では常識であり、その生体防御反応を阻止するような咳止めや鼻水止めは病気を悪化させる可能性が高いことも知られています。

例えば、日本内科学会の診療ガイドラインでは、痰が多い咳(湿性咳嗽)の患者に咳止めを飲ませると肺炎になるリスクが高くなることが科学的に実証されているとして、そういう咳がある患者には咳止めを飲ませないことを勧告しています。実際、医師国家試験にもこのことを知っているかどうかを試す問題がしばしば出題されています。

鼻水止めも、ぺリアクチンのような第一世代の抗ヒスタミン薬と呼ばれる薬剤の中には中枢神経系への影響が大きく、呼吸抑制やけいれんの誘発、成長期の脳の発達への影響が懸念されるなど、専門家の間ではいろいろと問題が示されています。成人でも、鼻水止めが原因で眠気を起こしたり、注意障害が引き起こされて自動車事故や機械作業の事故につながり得ることが知られています。

咳止めは中枢性と末梢性の咳止めに分類されていますが、中枢性の咳止めは麻薬性と非麻薬性のものがあり、麻薬性のものは習慣性・依存性があり、危険です。コデインという麻薬成分が入っているものが多く、なになにコデシロップなどという薬品名で売られていますが、基本的に小児には使うべきではありませんし、成人でも注意が必要です。

中枢性の非麻薬性咳止めとして世界的に認識されているメジコン(デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物配合剤)は世界各国の臨床研究によって、子どもの咳に対しては特に効果がないことが科学的に証明されています。

そのほかにもアストミンやアスベリ、フスタゾール、フストジル、コルドリンなどの咳止めもありますが、どれも効果は1960-1970年代の対象薬を選定していない臨床研究データであり、十分な科学的解析が行われたとは言い難い薬剤ばかりが使用されており、効果は確実ではありません。子どもへの安全性に対しては、フスタゾールのようにある程度は信用できる薬剤もありますが、積極的に推奨できる薬は存在しません。

末梢性の咳止めに分類されているのは、抗ヒスタミン剤や去痰剤、うがい薬、気管支拡張剤がありますが、これらの薬剤の多くは咳止めの作用があることが科学的には証明されていません。

特に、気管支拡張剤が咳止めとして効果があると科学的な根拠が十分に示されているのはほんの一部の薬剤であり、それも気管支ぜんそくによる咳に対して効果が示されているに過ぎません。つまり、気管支拡張剤はぜんそくの治療薬であり、末梢性の咳止め、鎮咳薬に分類すること自体に問題があると言えるわけです。

また、ホクナリンテープやそのジェネリックであるツロブテロールテープが咳止めとして有効なのは気管支ぜんそくのごく一部の患者のぜんそく発作に伴う咳に対してだけであり、血清カリウムの低下による心機能異常などによる予期できない心停止を起こす可能性もあり、使用は危険です。気管支ぜんそく以外の病気の咳に対する有効性を示す科学的根拠がないことはメーカーの関係者も認めているところであり、世界中のどこを探しても”咳止めのテープあるいはシール”と呼べるものは存在しません。ホクナリンテープは現時点では日本、韓国、中国で発売されていますが、他の国では審査対象にもなっていません。また、ジェネリックは日本でのみ発売されています。

つまるところ、かぜ症候群(普通感冒)と呼ばれる風邪に効く薬というのは、そうはありません。

では、どうすればいいのか?

それに対して、南山堂という明治時代からある医学系出版社が96年も続けて出している雑誌”治療”の2014年10月号に、こんな文章が掲載されていましたので、それをそのまま引用させてもらいます。

「患者やその保護者に、風邪症候群と風邪薬について正しく丁寧に説明することが第一義である。その作業を怠って、”プラセボ効果処方”、”お土産処方”でごまかし、だまし続けることは許されるものではない」

まさにその通りなんです。とりわけ、”咳がひどい時に咳を軽くするテープ”なんて世界中、どこにもありません。患者や家族にそんなテープもしくはシールが存在すると勘違いさせるような医療関係者はごみでしかないのです。

なので、私は簡潔でも正確に副作用などのデメリットと使うべきではいことを説明しますが、使ってもいい場合にはその理由を説明し、意味のある処方をするように心がけています。

それに、実は無意味な薬ばかりではなく、時には有効な薬もあります。その有効という言葉の意味は、決して”病気を治す”という意味ではありません。

じゃぁ、それはどういう意味なのか?

それはまた、次回のこのシリーズで書く予定です。


このシリーズの前回の話は、以下の通りです。
 風邪の治療なんて言うけれど…:ホントは多くの医師はわかっていない
 URL:http://totorohiroshi.at.webry.info/201411/article_25.html
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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
フスタゾールはどんな病気も治すこともない薬なので原因療法とは無関係なのに、「フスタゾール 原因療法」という検索でアクセスしてきた不思議な人もいました。
矢吹 徹
2015/06/25 20:17
「ひどい咳 オゼックス」というきちがいとしか言えない検索をしてきた情報弱者がいました。オゼックスは咳には無関係です。
矢吹 徹
2015/09/27 13:23
昨日も”風邪 オゼックス”なんていう検索をしてきた情報弱者がいました。

風邪にオゼックスを使うなんて、にせ医者か精神異常者か認知症の医者ぐらいじゃないですかね?
矢吹 徹
2015/11/04 12:58
「喘息なのにフスタゾールがでない」という馬鹿な検索をしてアクセスして来た人までいます。フスタゾールは咳止めですが、喘息の薬としての有効性は証明されていません。フスタゾールを喘息だけの患者に処方するのは無駄なことです。
矢吹 徹
2016/01/07 16:20
オゼックスで咳や鼻水が治るという人がいれば精神異常者か偽医者ですが、おさまるかどうかを検索してアクセスしてくる無知過ぎる人がいます。調剤薬局で聞けば即座にわかることですよね。
矢吹 徹
2016/02/19 21:13

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