小説「僕の彼女は中国人」

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zoom RSS この冬もインフルエンザに肺炎を合併した患者を複数診療したのですが…

<<   作成日時 : 2015/02/15 18:42   >>

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臨床感染症学を得意分野の一つにしている私は毎シーズンの様にインフルエンザ患者の診療もしています。昨年12月に2名、今年1月に2名、そして今月は2月14日までに1名のA型インフルエンザに急性肺炎を合併した患者さんの入院治療を担当しました。この5名の患者さんにはある種の共通点があります。

5名ともタミフルを飲まされていましたし、5名ともインフルエンザの予防接種を受けていました。タミフルはコクラン国際レポートにもあるように、インフルエンザの治療薬として有効であるという科学的根拠はありません。そのくせ、副作用発現率はいろんな世界の報告を総合して考えると30%を超えています。薬疹や肝機能障害、腎機能障害が多いのですが、精神症状など様々な副作用の存在が示唆されています。しかし、治療薬として有効であるとする科学的根拠がないとわかっているのに、その新しい情報を知らないまま使い続ける医師もどうかしていますね。

また、この5名のうち3名はホクナリンテープを咳止めだという振り込みで処方されていました。でも、ホクナリンテープやそのジェネリックであるツロブテロールは咳止めではなく、インフルエンザに対する健康保険の適応はありません。

そして、さらにその3名うち2名はオゼックスを飲まされていました。オゼックスもインフルエンザには効果はありませんし、肺炎の合併を予防できるという科学的根拠もありません。インフルエンザに処方する時点で、その処方をする医師はアウトです。

つまり、これらの5人は科学的根拠のない治療を他の医療機関で受けて、肺炎になってから紹介されてきた人々です。タミフルを処方する時点で、医師としてはアウトだと私の大学の後輩である内科医は断言していますが、私もそう考えています。

私が働いている病院で、昨年12月から今年2月14日までにインフルエンザと診断された患者は、0-15歳が90名、16-65歳が398名、66-100歳が257名でした。でも、そのうちタミフルが処方された患者は一人もいませんでした。5歳以上65歳以下はイナビルのみが処方されており、3-4歳ではテスト用の笛を使って吸入ができると判断された児だけが処方されていました。

小さい子どもと慢性閉塞性肺疾患があって吸入できそうにない高齢者には麻黄湯または葛根湯が処方されていましたが、65歳以上には麻黄湯は処方されていませんでした。もちろん、軽症であると判断された患者の場合はすべての年齢でどの薬剤も処方はされていませんでした。また、緑内障や前立腺肥大症などの持病のある患者では麻黄湯は処方されていませんでした。そして、12月、1月に受診したすべての患者は問題なく治癒していました。2月の受診者はまだ経過が確認されていませんでした。

患者総数でしかみていませんが、インフルエンザの予防接種を受けた人は約25%いましたが、接種していない人と比べて症状が軽いとは統計学的には言えませんでした。また、解熱剤を持っていない人には、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンのいずれかが処方されていましたが、約75%の患者にアセトアミノフェンが処方されていました。

喀痰細菌培養検査や血液細菌培養で病原性のある有意な細菌が検出されたのはオゼックスを飲まされていた2名を含む4名であり、細菌感染が合併して肺炎になったと診断できました。この4例は細菌培養検査で判明した有効な薬剤を投与して肺炎は改善しました。残り1例はインフルエンザウイルスそのものによる肺炎であることが判明しましたが、既にラピアクタの点滴は効果がなく、酸素吸入や喀痰の吸引、解熱剤、水分補給のための点滴など保存的治療を行い、完治しました。

入院期間は、10-14日でした。年齢は3歳から93歳まで幅広く、基本的な肺炎治療の考え方だけで完治可能でした。

この病院では、希望するスタッフに予防接種を受けさせています。予防接種をしなかった医師は私を含む5名、予防接種をしなかった看護士は10名いましたが、誰もインフルエンザには今のところなっていません。

1月に4名の看護士が次々とA型インフルエンザになり、仕事を休みましたが、幸いにも入院者や死亡者はありませんでした。この4人は全員が予防接種をしていたわけです。4人ともイナビルを使用しましたが、特別に重症ではないまでも軽症とも言えない状況で、10日間は勤務禁止にしていました。

松本市で予防接種を受けて後にA型インフルエンザに罹患し、インフルエンザ脳症で発症から2日以内に死亡した看護士がいたという報道が先ごろありましたが、別に不思議はないと考えています。

その昔、富山医科薬科大学のウイルス学教室の研究で葛根湯がどうしてインフルエンザの治療に有効なのかを研究され、”インフルエンザに感染したとき、インフルエンザに対する免疫反応が生じる過程で活性化されたサイトカイン(インターロイキン1アルファ)が過剰生産され、そのサイトカインの作用によって高熱が出ると考えられる。葛根湯は、そのサイトカインの過剰産生を抑制するか、もしく産生量を調整する働きがあると考えられ、その働きによって解熱が得られるとともに炎症によるインフルエンザの諸症状が改善すると考えられる”という仮説を立てることができたという話を、私はその当時の教授の口演発表で聞き、いくつかの知りたいことを質問したことがあります。

予防接種を受けると抗体が作られます。その抗体がインフルエンザの活動を阻止する抗体ではなく、サイトカインが極めて過剰産生されるサイトカインストームという反応を引き起こしてしまう免疫学的性質を持った抗体だとしたら、予防接種によってインフルエンザが重症化することはあり得る、という仮説は理論上は成立します。

本当のことはわかりませんが、調べてみる価値はありそうです。

もっとも、私はもう随分と前に研究者を辞めましたから、実験的な研究をするつもりはありませんけどね。

そうそう、昨年あたりに知ったのですが、カラーテレビコマーシャル脳症がインフルエンザ脳症や突発疹などの原因だなどという妄想だらけの異常者や電磁放射線BBS破壊サイトカイン脳症などという病気を唱える妄想だらけの異常者もいるらしいので、騙されないように気をつける必要がありそうです。しかも、それを本気にする医師がいるというのですから、もう医師というより患者ですよね(笑)
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
つい最近になって新たに入院した慢性肺疾患を持病に持つ高齢者の男性も、インフルエンザにタミフルを内服され、オゼックスと同系統の合成抗菌剤や咳止めなどを内服させられ、結局は肺炎になって紹介されてきました。

いわゆる医療施設関連性肺炎の典型例で、しっかりとした治療を行って一命は取り留めましたが、それまで苦しまれたことを思うと、気の毒でたまりません。

馬鹿な医者が多いこの国の医療は科学とは程遠い気がしてなりません。
矢吹 徹
2015/02/24 08:54
認知症のある高齢者の場合、タミフルを内服することで出てくる精神症状を認知症による精神症状と誤認されて気づかれないケースはかなりあるようです。

今年だけでも3例の高齢者にタミフルによる精神症状が認められる例に遭遇しました。
矢吹 徹
2015/03/03 08:44

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