小説「僕の彼女は中国人」

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zoom RSS 病院にやって来る嘘つき:その2

<<   作成日時 : 2016/02/28 11:26   >>

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前回とは別の医療機関での話です。医師6年目の救急科医師が「ふらつく」という理由で救急車で搬送された老人を入院させて検査をいろいろしたものの異常が見つからず、3日後に患者の希望で退院させました。

それから2週間ほど経ってから、夕方にその老人と別居しているという家族が「歩けない」という主訴で患者である老人を連れて来ました。

話を聞くと「2週間ほど前に退院してから、一人暮らしを続けるというので、そうさせておいた。2週間ぶりに家を訪ねたら、下半身裸で毛布にくるまって寝ていた。トイレに行こうとしたら歩けず、自分が介助してやっとの思いでトイレに連れて行った。廊下やあちこちで失禁したらしく家の中が便と尿でとんでもない状態だった」というのです。

診察すると手足の神経反射に異常はなく、筋緊張も異常はありませんでした。手は自由に動くと患者は言い、動かして見せてくれました。患者は病院の駐車場から入る玄関に常設されている車椅子に乗っていましたが、足が動かないと言いました。足を触って動かせるかどうか他動的に動かすと筋緊張が変化し、微かに自発運動があるのが察知出来たので、芝居が下手だと思いました。

「入院時の頭部MRIの所見と今の状態を比べてみましょう」と言って頭部MRIを撮影することにしました。家族から見えない部屋で撮像することを利用して、患者が自分で足を動かさないと床に落ちる錯覚を与えるように意図的に患者の身体を安全に配慮して傾けてみました。するとやっぱリ、片足でしっかり身体を支える動作が確認できましたが、気づかぬふりをしました。

もちろんMRIは誰が見ても入院中のものとそっくりで変化はありませんでした。骨折や他の異常がないこともレントゲンや各種の検査で確認しました。

異常はないというと家族が歩けないので入院させて欲しいと言いだしました。

「神経内科がないので入院しても治療できません。治療できる病院に紹介します」というと家族は家の中が汚物が散乱して大変で面倒見切れないし明日他の病院にいくのも大変だと言い出す有様でした。

そこで私はあえて看護師に大声で「こういう場合はどうする決まりなの?」と尋ねました。

看護師は極めて冷静かつ冷たい言い方で「こういう場合には一時入院の扱いはしていません。お家の中が大変ということですから、ご帰宅されて少しでも早く汚物処理や掃除をされる方が大切かと思います。その上で、歩行障害を診てくださる神経内科のある国立病院機構の……病院に紹介受診されるのが最適だと思います」と答えました。

「では、その病院に紹介状を書きましょう」というと患者が自分で「そうしてください」と言いました。私は書類を作成し看護師に渡すといったん休憩室に行きました。

その後、次の患者が救急車で来るという連絡があり、私は救急外来に向かいました。

その途中、駐車場に出る玄関の側を通過しました。先ほどの歩けないという老人がスタスタ歩いて車に乗り込むところが全部見えました。

思った通りです。もちろん紹介先に受診しなかったことは2週間後に事務経由で確認出来ました。

目的は何か不明ですが、明らかな詐病でした。

ここで紹介した嘘つきは、ほんの一部です。でも騙される医師もいるようです。
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